『サラベポポと魔法のコイン』物語 第3話
- kotoumishirabe

- 2024年5月22日
- 読了時間: 2分
ところで返本された本たちを 倉庫に保管するにも
一日いくらの管理費を支払います
これは出版社経営者にとっての 大きな問題でしょう
とうとう 維持しつづけるのが 大変となり
「断裁処分」せざるをえなくなった時
版元の社長さんから わたしに電話で連絡が入りました
せっかく制作・製作した本を「断裁処分」するに忍びない
との理由で 著者であるわたしに相談してきたのです
一日あたりの倉庫管理費 掛ける 本の冊数分の代金で
買い取ってもらえたら 倉庫から救い出せる!
その代わり 学校の図書館に寄贈しようと 販売しようと
こちらの自由にゆだねるという条件でした
その方としても 企画を立て執筆依頼をし
編集者として 校正校閲などの原稿整理も
わたしと協力してやってきた
いわば生みの親の一人ですから 気持ちはわかります
わたしは 快諾しました

表紙の絵を仕事として依頼し 快く画いてくれた
栃木県在住の 素朴画家の友人である
田中重光君(本記事末尾にリンク有)に
軽トラを出してもらい
二人で 埼玉県八潮市の流通センターの倉庫に
本たちを救出すべく 向かいました
そして 二人で必死に本を運び出して トラックに積み
救出作戦は 無事 成功しました!
こうして 人の心と人の心とが共鳴しあい
一つの目的のために 協力しあうことで
救い出せたお蔭で 本たちは
シュレッダーにかけて 切り刻まれなくて済んだのです
それによってまた 何千人という人が
今となってはもう貴重になってきている
紙の本 を手に取り 文章を読み
作品からなにかを 受け取り
それぞれの心の湖面に 空が映り
雨のしずくが落ちて
それぞれに特有の波紋が 生まれるために
この世に 産まれてきた 物語と
それを印刷・製本技術により 本の形になったものが
その使命を まっとうすることができているのだ
こう考えると どんなに尊いことだったかと
いまさらながら おもいます
(次回につづく)



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