なぜ未来像"Future Image Builder"か
- kotoumishirabe

- 2024年3月25日
- 読了時間: 3分
リニューアル改訂版(約三年振りにリライトしました)
20年前にサラペポポという理想郷が登場する物語を書いて出版したのを機に、自分の肩書を「未来像作家」と決め、名刺の注文時にこの五文字の上に小さめに"Future Image Builder"と添えるよう印刷屋に指定した。
仕上がってきた浮き彫りはその印刷屋自慢の技術で、指の腹でそのデコボコした光沢ある字の感触を確かめ、周りにちりばめられたラメの光彩が名刺の角度を変える度、きらめくのに満足感を覚えながらも、果たして通用するだろうかなどと一抹の不安が脳裏をかすめたのだった。実際、名刺を渡された人のなかには、「映像作家なんですか」と訊ねる方もいて、心のなかで苦笑しつつ「いえ、writerなんですが」くらいに答えて自分でもそこは伝える努力はしてこなかった。 しかしもちろん自分なりにこの造語にこめた意味というか願いはあって、文字どおり「未来の像を建てる」。心象(イメージ)を読者に伝え、それぞれの人の胸のなかに醸し出され発酵した心象が未来に現れ現実化してくる、つまり自分の作家的使命は「想念の雛形の建設者」(実際は設計図を共同創造者である読者に渡すまでだが)であるといった明確な自己イメージはもっていた。作中で想念博物館というのまでも描いているが、人間の想いのエネルギーがいかに現実化してくるかをテーマの中心に据えているほどだから、名前にこめた想いは相当なものがあったとおもわれる。 ずっとあとになってから、シュタイナーをつうじて理解を深めることとなった。というのは、人生の何分の一かを占める睡眠中の生活がいかに大事か、ベッドに横たわる肉体とエーテル体を残し、睡眠中の人のアストラル体と自我は、より精妙な波動の異次元世界に行っているが、その人が昼間の生活で何を考え、どんな感情をいだいたかが重要であるのは、天使が回収し吸収できるのは、わたしたちが理想主義的な思考や感情の種子を言動のなかで播いた場合にかぎる、とわかったからだ。
これをもって向うの界層で原像が将来を準備する未来像として創られ確実に蓄積されてこちらの物質次元に実を結ぶ。逆に天使の方から、インスピレーションや明るい未来ビジョンを渡してくれることで天使と人間の共同創造が睡眠生活を中心になされる。
では、なぜ睡眠中なのかというと、周波数の互いに異なる世界がレイヤー(層)をなして重なり合う多層構造を前提とするこの生命宇宙にあって進化と調和を目的とした情報交換を行うには、変性意識状態に移行する必要があるからだ。周波数帯域の拡がった界層でこそ精神は多くの高次元存在のサポートを得て未来の理想世界の雛形を築けるだけの働きがしやすくなる。
ロゴスの豊饒な海を故郷とするイメージやビジョンやインスピレーションを運ぶ言(ことば)を媒介してそれらが人から人に転写され伝播してゆくにしたがい、地球の波動を上げてゆくものなら、現実世界の闇ばかりにチューニングして描き、それをリアルだと後生有り難く受け取ってソリッド(固体)なイメージとの同一化をますます強めるエゴイズムから来る惰性やあきらめや恐れ、自己否定の裏返しの優越感情を温存する文学には関与しないと、あの時決めたのだとおもう。
言海 調 25th Mar,2024




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